電荷

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帯電した髪の毛がプラスチックに引き寄せられている。

電荷[編集]

乾燥した日にカーペットの上を歩いた後、金属のドアノブに触るとピリッと放電が起こることがある。これは身近にある物体あるいは人体にもともと蓄えられている電荷が目に見えた瞬間の現象である。

通常、電荷は姿を表すことがない。正電荷負電荷がバランスを保って物体中に同じ量だけ存在しているためである。これは電気的に中性と表現される。一方、この2種類の電荷がバランスを崩しているとき、物体は帯電していると表現される。

Opfindelsernes bog 1-4, Andre Lutken og Helge Holst,1878
Opfindelsernes bog 1-4, Andre Lutken og Helge Holst,1878
帯電した物体の相互作用の実験[編集]

ガラス棒を布でこすると、電荷が移動してガラスがわずかに帯電するようになる。このガラス棒は紙片を引き寄せることができる。

さらにこの帯電したガラス棒を2本用意し、片方を糸で吊って電荷が変化しないようにした上で、もう片方のガラス棒を近づけると互いに遠ざかるように力を受ける。

ここでプラスチックの棒を毛皮でこすり帯電した棒を同じく糸で吊った帯電したガラス棒に近づける。すると今度は2本の棒は引き合い、近づく向きに力を受ける。

この実験結果から、同符号の電荷は反発し合い、異符号の電荷は引き合うことがわかる。

導体と絶縁体[編集]

線路に備え付けられた接地

銅の棒を手に持って毛皮でこすっても帯電はしない。手で銅に触れていると、こすった時には銅に移動した電荷はすぐ人体を通って地表の床へ逃げてしまい、あっという間に電気的に中性となる。

金属や人体などは負の電荷が自由に動き回ることができる。このような物質を導体と呼ぶ。

ガラスやプラスチックなどは電荷が自由に動き回ることができない。このような物質を絶縁体(不導体とも)と呼ぶ。

銅の棒に帯電した電荷が地面へ逃げたように、物体と地面を導体でつなぐことを接地またはアースという。電化製品にも接地用の導線が付いている商品がある。これは雷や漏電などで過電流が流れた時に、電化製品あるいは人体に大量の電荷が流れて壊れないよう地面へ電荷を逃す役割をしている。

クーロンの法則[編集]

1785年、シャルル・ド・クーロンがねじり天秤という装置を用いて実験から導き出した法則がある。

  • 荷電粒子間にはたらく力は電荷量の二乗に比例する。
  • 荷電粒子間にはたらく力は距離の二乗に反比例する。

この特徴をクーロンの法則と呼ぶ。定式化した式が下記となる。

ここで q1, q2 は荷電粒子の電荷量。r は荷電粒子間の距離。k は比例定数。

(参考)キャヴェンディッシュの実験[編集]

実はクーロンが発見する以前の1773年に、イギリスの科学者キャヴェンディッシュがクーロンの法則を発見していた。クーロンよりも早くかつ高い精度でクーロンの法則を発見していたが、研究資料は机の中にしまい込まれたまま、公表されずに埋もれてしまっていた。

のちにマクスウェルがキャヴェンディッシュの研究資料を元に、改良した装置を用いてクーロンの法則の追実験をしたところ、非常に高い精度でクーロンの法則を確かめている。