化学式,化学反応式

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化学式[編集]

化学の世界では、物質の組成を表わすために化学式を用います。化学式には、その物質に含まれている元素が元素記号で表わされているだけでなく、それぞれの記号に下付きの数字を添えることで各元素の相対比が表わされています。

例えば塩化マグネシウムはMgCl2と表わされます。これを見ると、この化合物中にはマグネシウム原子と塩素原子が含まれていて、マグネシウム原子1個に対して塩素原子が2個ある(塩素=Clに下付きの2がついている)ことがわかります。同様に四塩化炭素はCCl4と書き、1個の炭素原子ごとに4個の塩素原子があるとわかります。

では、物質を主に構成しているイオンと分子の2種類について、それぞれ見ていきます。

イオン性物質と命名法[編集]

イオンとは電子を失い、または獲得して、全体として電荷を有するようになった原子または原子団と定義されます。もっとも身近なイオン性物質(=イオンでできている物質)としては“食塩”として知られる塩化ナトリウム NaCl が挙げられます。

銅を例にとってみます。銅は通常、電気的に中性の状態にあります。この状態は、過剰の電子がなく、電気的に中性になるために電子を必要とする状態でもありません。しかし塩酸 HCl と反応させると、銅は塩素と結びつく際に電子を失い、塩化銅(II) CuCl2 になります。

この反応では、銅は陽イオン(カチオン)になります。陽イオンとは原子が1個以上の電子を失って正の電荷をもったものです。陽イオンを書き表すには、元素記号にイオンの電荷を上付きで付け加え、Cu2+ のように表記します。これは銅原子が2個の電子を失い、電子2個分の正の電荷をもっていることを表わします。上述の塩化ナトリウムの例のナトリウムは Na+ と表わし、ナトリウム原子が電子1個を失っていることを示します。

CuCl2の例に戻ります。ここでは塩素原子は1個の電子を受け取っており、陰イオン(アニオン)になっています。陰イオンは原子が1個以上の電子を受け取り負の電荷をもったものです。陽イオンの時と同じように表記すると Cl1- となりますが、電子1個分の電荷を持つ場合は 1 を省略し、Cl- と書きます。

反応した陽イオンと陰イオンを並べて書くことでイオン性物質を表わすことができます。すでにこの項では2つのイオン性物質:NaCl と CuCl2 が出てきています。この例のように化学式でイオン性物質を表わす場合には、陽イオン→陰イオンの順に書き並べます。これに対して物質名のほうは、陰イオン→陽イオンの順に呼びます。NaCl ならば塩化ナトリウム(塩化(陰イオン)→ナトリウム(陽イオン))であり、CuCl2 ならば塩化銅(II)(塩化(陰イオン)→銅(II)(陽イオン))といった具合です。