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ポインタ

提供:ウィキバーシティ

ここでは、C++プログラムにおいて重要な概念であるポインタについて解説します。まず、Cの伝統的な野生のポインタ(raw pointers)を説明した後、C++の機能であるスマートポインタを使用してより安全にオブジェクトを操作する方法を紹介します。

概要

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ポインタとは、メモリ上の特定のアドレスを指し示す変数です。ポインタを使用することで、データの参照や操作が効率的に行えるようになります。しかし、ポインタ操作には注意が必要で、誤った使い方をするとプログラムがクラッシュする危険性があります。

野生のポインタ (Raw Pointers)

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CやC++の初期バージョンでは、ポインタは非常に強力なツールですが、その反面、危険も伴います。特に野生のポインタ(生ポインタ)は、誤用すると未定義動作やメモリリーク、クラッシュの原因になります。

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次に、野生のポインタを使用したメモリの動的割り当てと解放の例を示します。

// 野生のポインタの例
#include<iostream>

auto main() -> int {
    int* p = new int{42}; // 動的にint型のメモリを割り当て、ポインタpがそのアドレスを指す
    std::cout << "*p = " << *p << std::endl; // ポインタpを使って値を参照

    delete p; // 動的に確保したメモリを解放
    p = nullptr; // ポインタpをnullに設定して無効化

    return 0;
}

このプログラムでは、new演算子を使って動的にメモリを割り当て、delete演算子を使ってメモリを解放しています。しかし、deleteを忘れたり、同じメモリを二重に解放しようとすると、未定義動作が発生する可能性があります。

スマートポインタ (Smart Pointers)

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C++では、メモリ管理をより安全に行うために、スマートポインタが導入されました。スマートポインタは、メモリ管理を自動化し、メモリリークや二重解放のリスクを軽減します。標準ライブラリにはstd::unique_ptrstd::shared_ptrなどのスマートポインタが用意されています。

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次に、スマートポインタを使用した例を示します。

// スマートポインタの例
#include<iostream>
#include<memory>

auto main() -> int {
    auto p = std::make_unique<int>(42); // std::unique_ptrを使用してメモリを動的に割り当て
    std::cout << "*p = " << *p << std::endl; // ポインタpを使って値を参照

    // delete不要、スコープを抜けると自動的にメモリが解放される

    return 0;
}

このプログラムでは、std::unique_ptrを使用してメモリを管理しています。std::unique_ptrは所有権が一意であり、スコープを抜けると自動的にメモリが解放されるため、手動でdeleteを呼び出す必要がありません。

まとめ

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ポインタは強力で柔軟な機能ですが、その分誤用すると深刻な問題を引き起こす可能性があります。C++では、野生のポインタを使用する場合、メモリ管理に細心の注意が必要です。一方、スマートポインタを使用することで、メモリ管理を自動化し、安全性を高めることができます。プログラムの安全性と安定性を確保するために、スマートポインタを積極的に活用することが推奨されます。