担保責任

提供: ウィキバーシティ
ナビゲーションに移動 検索に移動

ここでは、担保責任について扱います。

この講座は、民法 (債権各論)の学科の一部です。前回の講座は売買・贈与、次回の講座は貸借型契約です。

担保責任[編集]

担保責任とは、売買契約などにおいて、給付した目的物に権利の瑕疵(欠陥)や物の瑕疵がある場合に、契約の一方当事者が負担する損害賠償その他の責任のことです。担保責任についての規定は売買の節におかれており、売買の場合が典型といえますが、贈与や消費貸借など、他の類型の契約についても問題となります。また、担保責任の性質については、法定責任(担保責任を法定の特別の責任)と考える見解と、債務不履行責任(契約から生じる債務の債務不履行による責任)と考える見解の大きな対立があり、様々な場面でこれが影響しています。

以下では、売買の場合を主に扱います。それ以外の契約類型についての担保責任に関しては、それぞれの契約類型の講座も参照してください。

権利の担保責任[編集]

総説[編集]

権利の担保責任(権利の瑕疵担保責任)は、売買の目的物の所有権に瑕疵があったときに、売主が負う責任であり、561条以下に規定がおかれています。売買契約の売主は買主に対し、目的物の所有権を与える債務を負っているところ、これに瑕疵があった場合にどうするかが問題となるのです。

法的性質[編集]

法定責任
法定責任と考える見解からすると、ここで問題となるのは、売買の目的とされた権利に原始的な瑕疵があり、それによって売買が少なくとも一部無効となるような場合において、取引の安全や買主の信用を保護するため法律が定めた特別の責任であることとなります。そこで、561条によって認められる損害賠償は買主が瑕疵がないと信頼したことによって被った損害を賠償するものであり、、信頼利益に限られることとなります。
債務不履行責任
債務不履行責任と考える見解からすると、売主には権利の瑕疵のない物を引き渡す義務があり、それを履行していない以上債務不履行となるため、債務不履行責任を負うのであり、561条は債務不履行責任についての特則であることとなります。権利の瑕疵がある場合について、民法はその特徴を考慮して担保責任という形で特別のルールを定めているのです。そして、債務不履行による責任を負わせるには帰責事由が必要と考える見解からは、この規定は特に無過失責任を定めた者と解されることとなります。損害賠償の内容は債務不履行による損害賠償の一般原則である416条によることとなり、履行利益の賠償も認められることとなります。

権利の全部が他人に属する場合[編集]

権利の全部が他人に属する物の売買、すなわち他人物売買も有効であることが560条の前提とされており、このような契約も有効に成立します。判例(最判昭和25年10月26日民集4巻10号497頁)では、目的物の所有者が他に譲渡する意思がないことが契約時において明らかであったとしても、売買契約自体は有効に成立するとしています。

そこで、他人物売買をした売主は買主に対し、所有者から所有権を取得してこれを買主に移転する義務を負います。ここで、売主が所有者から所有権を取得し、買主に移転することができないとき、売主は買主に対して、561条の定める担保責任を負います。これには売買契約後に所有者から買主に対し所有権に基づく返還請求がなされ、買主が目的物を返還することとなった場合も含まれており、追奪担保責任と呼ばれることもあります。ここで言う移転不能とは、社会の取引観念から見て権利を移転することが期待できないと評価されるものであれば足ります。

また、はじめから他人物として売買がなされた場合についても、判例は561条の適用を肯定する立場に立っていると考えられますが、学説では、他人物として売買がなされた場合に561条の適用をする必要はないとの見解も主張されています。

担保責任の内容としては、以下のものとなります。

  • 買主は、売買契約を解除することができます(561条前段)。この場合、催告は必要なく、買主の善意・悪意は問われません。
  • 善意の買主は、売主に対して損害賠償を請求することもできます(561条後段)。この損害賠償の内容は上記のように見解により異なります。またこの責任は無過失責任であり、債務者の故意・過失は問題となりません。なお悪意の買主については、売買に際して所有権が移転されないことも覚悟していたと考えられ、損害賠償請求は認められていません。

このように、悪意の買主には561条上損害賠償請求は認められていません。また、買主の帰責事由による移転不能の場合については、そのような買主を保護する必要はなく、売主は担保責任を免れるとされています(大判昭和17年10月2日民集21巻939頁)。もっとも判例(最判昭和41年9月8日民集20巻7号1325頁)によれば、悪意の買主であっても、所有権の移転不能につき売主に帰責事由があった場合には、561条の規定にかかわらず、債務不履行の一般規定に従って契約を解除し、または履行利益の損害賠償請求をすることができるとされています。しかしこれには、このように解すると561条が悪意の買主に損害賠償責任を否定した意味がほとんどなくなってしまうという批判がなされてます。

また、売主が善意の場合には、売主にも権利の移転不能を買主に通知して契約を解除することが認められています(562条2項)。この場合であっても買主が善意であれば、解除にかかわらず損害賠償はしなければなりませんが、損害賠償を提供することが解除の要件となるものではありません。

権利の一部が他人に属する場合[編集]

例えば、売買された土地の一部が他人の所有であった場合など、権利の一部が他人に属する場合において、売主がその権利を取得して買主に移転することができないとき、売主は、買主に対して563条の定める担保責任を負います。

  • 買主は、その不足の割合に応じて代金の減額を求めることができます(563条1項)。買主の善意・悪意は問われません。これを代金減額請求権といい、これは形成権です。
  • 善意の買主は、取得できた部分のみであれば買い受けなかったとき、売買契約を解除することができます(563条2項)。この場合催告は必要ありません。
  • 善意の買主は、売主に対して損害賠償を請求することができます(563条3項)。

以上の563条に定められた買主の権利は、1年の期間内に行使されなければならず(564条)、この期間は除斥期間とされています。善意の買主の場合には事実を知った時、悪意の買主の場合には売買契約締結の時が起算点となります。事実を知った時とは、買主が売主に対し担保責任を追及し得る程度に確実な事実関係を認識した時と解されています(最判平成13年2月22日判時1745号85頁)。もっとも、この期間内に出訴することまでは必要でなく、売主の担保責任を問う意思を明確に告げることで足ります。

地上権等の負担がある場合[編集]

566条は1項において、「売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的である場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達することができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。」と定めており、また2項において「前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなかった場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。」として1項を準用しています。

そこで566条1項により、以下のような権利が認められます。

  • 善意の買主は、これらの負担があるために契約の目的を達成することができないときは、契約を解除することができます。催告は不要です。
  • 善意の買主は、売主に対して損害賠償を請求することができます。これを債務不履行責任と捉えると、履行利益の賠償が認められます。

買主が利用が制限されることを知っていた場合には、制限されることを前提としてそれに応じた価格で契約がなされるものと考えられるため、これらの権利が認められるのは善意の買主に限られています。また、権利の制約について金銭評価することは困難と考えられ、買主に代金減額請求権は認められていません。もっともこのことは学説上、立法論としては、適切なものではないとして批判もなされています。

さらに学説上、建物売買で目的とされた建物のために存在するとされた敷地利用権(土地賃借権や地上権)が実際には存在しなかった場合にも、2項前段の規定を類推適用するのが通説となっています。また2項後段の登記をした賃借権とは、対抗力を備えた賃借権を意味するものと解釈されています。

これらの買主の権利は、1年の期間内に行使されなければ消滅します(566条3項)。

抵当権等の負担がある場合[編集]

567条では、1項において、「売買の目的である不動産について存した先取特権又は抵当権の行使により買主がその所有権を失ったときは、買主は、契約の解除をすることができる。」と定め、2項において、「買主は、費用を支出してその所有権を保存したときは、売主に対し、その費用の償還を請求することができる。」、3項において、「前二項の場合において、買主は、損害を受けたときは、その賠償を請求することができる。」と定めています。

1項の場合には、目的物を所有者から追奪された場合と同様であると考えられ、これと同様に買主の善意・悪意を問わず、また解除には催告も不要とされています。3項では、買主の善意は求められておらず、悪意であっても損害賠償が可能とされていますが、これは抵当権などは債務者が弁済すれば実行されないものであり、担保物権の存在を知りつつ完全な所有権を保持する意思で目的物を購入しても責められるべきものではないと考えられるためです。

数量不足・原始的一部滅失[編集]

数量不足や原始的な一部滅失の場合(量的瑕疵)についても、不足分・滅失分に対応する所有権が欠けていると考えると、権利の瑕疵であると捉えられることとなります。一方、契約上予定された物が一部欠けていると考えると、物の瑕疵として位置づけることもできます。

565条では「前二条の規定は、数量を指示して売買をした物に不足がある場合又は物の一部が契約の時に既に滅失していた場合において、買主がその不足又は滅失を知らなかったときについて準用する。」と定めて、このような場合につき善意の買主について563条・564条を準用しており、上記の権利の一部が他人に属する場合と同様に処理されることとなります。もっとも、数量不足や原始的な一部滅失を物の瑕疵と同様に捉える場合には、権利の瑕疵について債務不履行責任と捉え、物の瑕疵について法定責任説に立つと、権利の一部が他人に属する場合とは損害賠償の範囲は異なり、信頼利益の範囲に限られることとなります。

売買の目的物につき、数量不足があれば直ちに565条が適用されるわけではなく、数量を指示して売買がなされる必要があり、このような売買は数量指示売買と呼ばれます。数量指示売買の定義について、判例(最判昭和43年8月20日民集22巻8号1692頁)では、当事者において目的物の実際に有する数量を確保するため、その一定の面積、容積、重量、員数または尺度あることを売主が契約において表示し、かつ、この数量を基礎として代金額が定められた売買をいうものとされています。

また別の判例(最判昭和57年1月21日民集36巻1号71頁)では、面積が不足していた土地の売買契約につき、土地の売買契約において土地の面積が表示された場合でも、その表示が代金額決定の基礎としてされたにとどまり売買契約の目的を達成する上で特段の意味を有するものでないときは、売主は当該土地が表示どおりの面積を有したとすれば買主が得たであろう利益について、その損害を賠償すべき責めを負わないとされています。

なお以上に対して、数量を指示して売買をしたところ実際には契約以上の数量があった場合(数量超過)について、判例(最判平成13年11月27日民集55巻6号1380頁)では、565条は数量不足・物の一部滅失の場合の売主の担保責任を定めた規定に過ぎず、数量超過の場合には、超過部分の代金を追加して支払うとの合意があったのでなければ、売主が565条の類推適用を根拠として代金の増額を求めることはできないとしています。売主は買主より正確な情報を得ることができる立場にある以上、数量超過による損失のリスクは自ら負担すべきであり、これを買主に負わせるには特別の合意が必要と考えられます。

物の瑕疵担保責任[編集]

総説[編集]

570条では、「売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。」と定められています。これが瑕疵担保責任(物の瑕疵担保責任)と呼ばれる責任であり、売買の目的物に隠れた瑕疵がある場合、566条(地上権等の負担がある場合)と同様に、瑕疵のため契約の目的を達成することができない場合には、売買契約を解除することができ(566条1項前段)、また買主は売主に対して損害賠償を請求することができます(566条1項後段)。解除の際には催告は不要です。そしてこれらの権利は1年の期間内に行使されなければなりません(566条3項)。

以上のように、570条の規定は複雑なものではありませんが、瑕疵担保責任の法的性質の理解や射程に関して、議論がなされています。

法的性質[編集]

瑕疵担保責任の法的性質についても、大きく法定責任説と契約責任説の見解の対立があり、どちらの立場に立つかによって瑕疵担保責任の内容や射程が変わってきます。判例は法定責任説をベースとしており、一方で学説では契約責任説も多く主張されており、国際的にも、契約責任説の立場に立つ国が多数となっています。

瑕疵担保責任の法的性質をどのように考えるかの問題は、売買契約の内容をどのように考えるのかという問題によるものと言えます。

法定責任説[編集]

法定責任説の考え方は、特定物の売買契約においては、その物に瑕疵があったとしてもその物を引き渡せばそれは完全な履行であり、買主は売主に対して債務不履行責任を問われるものではないという、特定物ドグマによる考え方です。

特定物ドグマは、例えば特定物である、ある絵柄の古伊万里の大皿を100万円で売買した場合、例えその大皿にひびが入っていたとしても、この世の中にひびの入っていないある絵柄の古伊万里の大皿などというものはないのであり、特定物の売買契約において、債務の内容を形成するのは「この物」の引渡しであって、物の性質がどうであるかは効果意思とはならず動機となるに過ぎない、という考え方を基礎としたものです。

また、原始的不能について無効と考える立場から、「瑕疵がない物」は存在しない以上、「瑕疵がない」という部分については無効(一部無効)となり、その「物」を引き渡せば完全な履行であると説明することもできます。なお、この立場は特定物ドグマによる立場とは両立しません。瑕疵のないという物の性質も債務の内容となると考える前提に立つものです。

しかしそうすると、このままでは瑕疵がないと信頼して取引した買主は、売主に債務不履行責任を問うこともできず、瑕疵のあるものをないと信じて買ってしまったことで不利益を被ることとなります。そこで、このような買主を保護し、買主と売主との間で利益調整をする必要があり、そのため法律が特別の責任を定めたのが瑕疵担保責任であると考えます。すなわち、瑕疵担保責任は完全な履行がなされた後の、特別の法定責任であると捉えることとなります。

以上のように、法定責任説からは、瑕疵担保責任とは債務不履行責任でなく履行は既に完全になされていると評価する以上、瑕疵担保責任による完全履行請求権(代物交付請求権や修補請求権)は認められないこととなります。また損害賠償の範囲についても、瑕疵担保責任から認められる損害賠償は、履行利益賠償ではないこととなります。さらに、種類物については瑕疵のある物を引き渡すと不完全履行となって(瑕疵ある物では特定しません)債務不履行の一般法理で処理されるのであり、570条の瑕疵担保責任は特定物のみを対象とします。対象となる瑕疵についても契約締結時の瑕疵のみが該当し、契約締結後に生じた瑕疵(後発的瑕疵)は400条の善管注意義務違反(保存義務違反)の問題として扱われ、売主に保管義務違反があれば債務不履行責任の問題に、売主に義務違反がなければ危険負担の問題になります。

もっとも、損害賠償の範囲については、買主の信頼保護の点から、信頼利益、すなわち瑕疵がないと信じたことによって買主が被った損害であると考える見解(法定責任説の中では多数となっています。もっともその具体的内容は見解により異なります。)と、買主と売主との対価的均衡の調整の点から、等価関係を調整するための代金減額的損害賠償であるという見解とが主張されています。

判例による修正[編集]

以上のように法定責任説では、瑕疵担保責任は特定物についてのみ妥当するということとなりますが、そうすると不特定物売買の場合、売主は完全な物を履行しなければならず、債権一般の消滅時効にかかるまでその責任を負い続けることになります。ここで、判例(最判昭和36年12月15日民集15巻11号2852頁)は、法定責任説をベースとしつつもこれを修正し、不特定物の売買についても、一定の場合に、瑕疵担保責任の規定が適用されるとしています。

そしてこの判例では、不特定物を給付の目的物とする債権において給付された物に隠れた瑕疵があった場合には、債権者が一旦これを受領したからといって、債務の本旨に従う完全な給付を請求することができなくなるわけではないが、債権者が瑕疵の存在を認識した上でこれを履行として認容し瑕疵担保責任を問うなどの事情があるような場合には、完全履行請求は否定されると判断しているものと解されます。

そこで、不特定物であっても、買主が瑕疵の存在を認識した上でこれを履行として認容した場合には、もはや完全履行請求は認められず、瑕疵担保責任の問題として処理されることとなると考えられます。ここで、履行として認容するとは、履行の客体として承認することを意味し、性質について異議のないものとして承認することを意味するものではありません。その性状まで承認した場合には、瑕疵担保責任の追求そのものが否定されることとなります。

契約責任説[編集]

契約責任説の考え方は、売買契約において瑕疵のある目的物を引き渡した場合、それは不完全な履行であって、売主は買主に対して債務不履行責任を負うというものです。この考え方は、売買契約において瑕疵のない目的物を引き渡すことも当事者の効果意思に含まれ、債務の内容になっているとの考え方を基礎としたものであり、特定物ドグマを否定する考え方によるものです。また、上の大皿の例で言うと、ひびの入っていないある絵柄の古伊万里の大皿の売買という、存在しない物の売買契約を認めることとなり、原始的不能の給付を目的とする契約も有効であるとの考え方を認める立場に立つものといえます。

そこで、570条の瑕疵担保責任は、債務不履行についての特別法として捉えられることとなります。

以上のような契約責任説からは、瑕疵担保責任は債務不履行責任であって未だ完全な履行はなされていないと評価されるため、履行利益の損害賠償も認められ、また条文上は挙げられていないものの、債務不履行の一般法理により、完全履行請求権(代物交付請求権や修補請求権)を行使することもできることとなります。さらに、570条の瑕疵担保責任の対象は特定物に限られず不特定物(種類物)も含まれ(もっとも瑕疵ある物ではそのままでは特定されませんが)、対象となる瑕疵の有無は引渡時(受領時)を基準として判断され、契約締結後生じた瑕疵も瑕疵担保責任の対象となります。

瑕疵[編集]

瑕疵とは一般に、欠点や欠陥といった意味を持ちますが、欠点や欠陥のある物も売買の目的とされるのであり、570条で言う瑕疵の内容として何が基準となるかが問題となります。

そして、通説はここで言う瑕疵とは主観的瑕疵の意味であると理解しています。主観的瑕疵とは、個々の契約の趣旨に照らして目的物が有すべき品質・性能を欠いていることを言い、物の客観的・物理的な品質・性能を欠いているという客観的瑕疵と対置されるものです。そこで、瑕疵であるか否かは、当事者の合意内容を基準として(特に合意がなければ、当該契約当事者の立場に置かれた合理人ならどのような品質・性能を期待したかにより)判断されることとなります。

また、ここでいう瑕疵には、その物自体の物理的欠陥のほか、心理的瑕疵(例えば住宅でかつて殺人事件があったこと)や環境瑕疵(例えば日照や景観、騒音などにおいて問題があること)も含まれると考えられており、さらに判例(大判大正4年12月21日民録21輯2144頁、最判昭和41年4月14日民集20巻4号649頁)では、法令上の制限(建築基準法上の建築制限など)も入るとされています。もっとも法令上の制限については、学説上、これを570条の瑕疵に含まれるとすると570条但書によって強制競売の場合には担保責任の規定が適用されないこととなり、買主の保護に欠けるため、競売の場合を例外としない566条の瑕疵と捉えるべきとの主張も多くなされています。

「隠れた」瑕疵[編集]

隠れた瑕疵の意味について、民法の起草当時は、文字通り外部に表れているかどうかを基準とし、不表見の瑕疵をいうものと考えられていました。しかしその後の学説では、隠れた瑕疵とは買主の善意無過失をいうものであるとの見解が通説となり、判例も、このような理解を基礎としています。これは、隠れたというのは客観的に隠れたということを意味するため通常人には発見できなかったことが必要であり、また瑕疵担保責任は買主保護のための制度であるから、買主が発見していなかったことも必要であるとして、保護を受けるに値する買主とは過失なく信頼した買主であって、善意無過失を言うものと解されたのです。

もっとも、判例は、不表見であるという事実によって買主の善意無過失は法律上推定されるため、瑕疵担保責任を主張する買主としては、客観的に見て瑕疵が外部に現れていなかったこと(通常人が買主の立場にあったときその瑕疵を容易に発見することができなかったこと)を主張・立証すれば足り、買主の悪意・有過失については瑕疵担保責任を否定する売主の側が主張・立証責任を負うものと考えてると解されます。

隠れたものである時期については、法定責任説からも契約責任説からも基本的に契約時を基準として判断されるものと考えられます。不特定物については、判例と同様に不特定物売買でも履行として認容し受領すれば瑕疵担保責任を認める立場に立つと、履行として認容し受領した時点で隠れていれば足りると考えられます。

(参照 w:瑕疵

期間制限[編集]

瑕疵担保責任による請求権には、1年の除斥期間が定められており(570条による566条3項の準用)、請求権は事実を知ったときから1年以内に行使しなければなりません。行使とは、出訴することまでは不要であり、売主の担保責任を問う意思を明確に告げることで足ります。

では、事実を知らなければいつまでも行使できるかというと、そうではなく、契約責任説に立つ場合も法定責任説に立つ場合も、一般の消滅時効が適用され、瑕疵担保責任による買主の権利は167条1項の債権に当たり、10年の消滅時効にかかると考えられます。

判例(最判平成13年11月27日民集55巻6号1311頁)では、買主が売買の目的物の引渡しを受けた後であれば、遅くとも通常の消滅時効期間の満了までの間に瑕疵を発見して損害賠償請求権を行使することを買主に期待しても不合理でないと解されるのに対し、瑕疵担保による損害賠償請求権に消滅時効の規定の適用がないとすると、買主が瑕疵に気付かない限り買主の権利が永久に存続することになるが、これは売主に過大な負担を課するものであって適当といえないとして、瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当であるとしています。

(参照 w:担保責任