Topic:言語学総合/「敷居が高い」とは

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コラム・「敷居が高い」とは[編集]

敷居が高い、って言葉の使い方、意味も一時話題になりましたよね。

「相手に不義理をしたり、また、面目のないことがあったりするために、その人の家に行きにくくなる。また、その人に会いにくくなる状態をいう語。」(『日本国語大辞典 第二版』小学館)

って事ですが、年齢30代以下では「高級過ぎたり、上品過ぎたりして、入りにくい」という意味で使われることが多い、と、平成20年度の文化庁の調査で指摘されているようです。あるいは、程度や難度が高い意で使われることもありますし、私自身もその意味で使いたくなることは多いですね。

で、思うんですが、この誤用とされている用法、意味も、本来の意味を踏まえたうえで使われているのではないか、と、ここでは主張したいわけです。

つまり、すぐ人のことを評価、見下して、お前は不義理だとか、面目のない人間とか言って非難するような、お高くとまった上品ぶったあんたとは、つきあいづらいよ、という、若い人たちの気持ち、本音が表れているんじゃあないでしょうかね。

要するに、何か知らないけど、お前の義理とか面目とか、程度や難度が高すぎて、相手してられんよっていう、っていう割とフランクな主張ですね。そして私自身はそういう考えの方がむしろ共感するし、主観的な意味ではむしろ正しいと思っています。

そしてお高くとまった老人たちは、そのことにうすうす気づいているから、それは言葉の誤用だって断言して、反撃に出るのではないでしょうか。

しかし実際の言葉の使い方では、やはりある程度慣習に従う方が妥当だと思われるので、私自身は、「ハードルが高い」などと言い換えるようにすることが多いです。