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不動産の物権変動

提供:ウィキバーシティ

ここでは、不動産の物権変動に関して、その対抗要件などについて学びます。物権変動一般については、前々回の物権変動の講座も参照してください。

この講座は、民法 (物権)の学科の一部です。前回の講座は不動産登記、次回の講座は動産の物権変動です。

民法177条

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民法では不動産の物権変動につき、177条において「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。」と定めています。

これにより、不動産の物権変動は登記によって公示されることで、第三者に対抗することができる(第三者に、自己に所有権などの権利があるなどと主張することができる)ものとなります。なお、登記については、前回の不動産登記の講座を参照してください。

物権の得喪及び変更

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判例では、177条でいう物権の得喪及び変更とは、全ての物権変動を言うものであり、変動の原因によらないものとしています(無制限説)。この立場に立つと、契約による物権変動などの意思表示による物権変動のほか、時効による物権変動や相続による物権変動、公用徴収による物権変動、会社合併による物権変動など全ての物権変動について、登記がなければ第三者に対抗できないこととなります。

これは、177条が176条(意思表示による物権変動)の次の規定であるからといって、177条が意思表示による物権変動のみを対象としたものと両規定を関連付けて考える必要はなく、また177条は第三者保護の規定であって物権変動がどのような原因によるものであるかは第三者の関知するものでないため、変動原因を考慮することは適当でなく、さらに、物権変動の当事者に登記可能性があり、にもかかわらず登記をしていないのであれば登記懈怠の帰責性を認めることができ、それによる不利益を引き受けさせるのも許容されるためと考えられます(大連判明治41年12月15日など参照)。

学説においても、このような変動原因無制限説は多数に支持されていますが、変動原因を制限する見解(どのような変動原因を除外するかは様々ですが)も、主張されています。

第三者

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177条の第三者とはどのような者をいうかについて、まず第三者とは、一般的には当事者及びその包括承継人以外の者を指します。

しかし、判例によると177条の第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権変動につき登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者であると、より制限的に解されています(大連判明治41年12月15日ほか)。そして、正当な利益を有するか否かは、当該物権変動の対象である物に対して、客観的にどのように関係しているかというにより判断され、さらに当該物権変動に対してその者が主観的にどのような認識・意図を有しているかという点から判断されます。

客観的要件

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客観的な177条の第三者の範囲として、第三者は、目的物に対して一定の法的地位または権利を有する者とされています。

このように範囲が限られる理由として、対抗問題は利害が相反するときにはじめて生じるものであり、物権変動について利害関係を有しない者は第三者に当たらないこと、また177条の趣旨は不動産の物権変動を公示して正当な権利・利益を有するものに不測の損害を被らせないようにするものであり、利害関係を有する者であっても保護に値しない者については第三者として保護する必要がないためと考えられています。

そして、一般的な第三者か否かを判断する基準として、177条の第三者とは同一不動産につき両立しえない物権を所得した者・それに類する者をいうとする見解と、177条の第三者とは当該不動産に関して有効な取引関係に立つ者に限られるとする見解があります。

しかし、現実的な各事例での妥当性を考慮すると、一律の基準を立てることは容易ではなく、現在では177条の第三者に該当するか否かは個別の類型ごとに検討されることが一般的です。

物権取得者
物権取得者とは、物権変動の効果が主張される不動産について、他に物権を取得した者(例えば、二重譲渡の場合での買主)は、177条でいう第三者となります。物権取得者は、他者に同一不動産について物権変動の効果を主張されることで、自己の当該不動産についての物権を失うことになります。このような者は、まさに177条が保護しようとする第三者に当たる者です。
不動産賃借人
不動産を賃借している者につき、当該不動産の譲受人から所有権に基づいて明渡しを求められた場合、その不動産賃借人は177条にいう第三者となる(そのため登記を得なければ譲受人は明渡し請求が認められない)ものとされています(大判昭和6年3月31日)。現在では、不動産賃借権は物権化しており、物権所得者である地上権者と類似の関係にあるためと考えられています。また、譲受人が賃料請求や契約解除などの賃貸借契約上の権利を行使する場合にも、賃借人は第三者となるものとされています(大判昭和8年5月9日、最判昭和49年3月19日ほか)。そしてここでの賃借人の持つ利害関係とは、賃料の支払先を確知する利益を有するのであり、それは保護されるに値する者であるとされています。
なお、契約の一般原則からすれば、譲受人が賃貸人としての権利を行使するためには譲受人、譲渡人のほかに賃借人の同意も必要とされるのではありますが、判例上、賃貸借においては譲渡人と譲受人が合意した場合には賃借人の同意は不要とされ(最判昭和46年4月23日)、また賃借権が対抗力を備えたものである場合、その合意さえなくとも法律上当然に賃貸人の地位が譲受人に移転するものとされています(大判大正10年5月30日)。そのため譲受人は自己に所有権が移転したことを主張することで賃貸人としての地位を主張できることとなります。
もっとも、賃料支払い請求の場合における判例に対しては、物の支配が争われているわけではなく177条の予定する問題とは異なるということ、債務の履行相手を確知する利益は、供託の制度や債権の準占有者に対する弁済の法理、あるいは債権譲渡の法理によって保護が図られるということ、また、一般に第三者に当たらない者とされている不法行為者などについても相手方を確知する利益は同様にあるともいえることであり、賃借人が第三者とされる論拠とすると矛盾するということなどから、批判もなされています。
差押債権者
不動産を差押えした場合には、その債権者は不動産物権変動の有無について利害関係を有する者となり、差押債権者は177条の第三者とされています(大判明治38年5月10日ほか)。また、同様に仮差押債権者(大判昭和9年5月11日ほか)や仮処分債権者(大判昭和17年2月6日ほか)も第三者となるものとされています。
これは、債権者はもともと債務者の財産一般に対して、債務不履行の場合には強制的な債権回収をする原資とできるという点で潜在的な支配力を有しており、差押がなされるとこの支配力が特定の財産につき具体化されるため、差押対象財産について物権者と類似する地位にあると説明されます。これに対して、無担保の一般債権者を強く保護する必要はないとして差押がなされたとしても第三者性を否定する見解も主張されています。
無権利者
不法行為者(例えば他者の建物を故意に損壊した者)は、登記欠缺を主張してその所有者からの損害賠償請求などを拒むことはできないものとされています(大連判明治41年12月15日ほか)。また、不法占拠者も同様に第三者に該当しないものとされています(大判大正9年4月19日、最判昭和25年12月19日)。そして、同一の不動産に関し正当の権限に依らずして権利を主張する者も、177条の第三者には該当しないものとされています(大連判明治41年12月15日)。ここには、不実の登記名義人や表見相続人、無効な法律行為による譲受人、それらの承継人などが含まれます。
転々譲渡の前々主
不動産が、AからB、BからCと転々と譲渡された場合、AはCが所有権を有することにつき、177条の第三者には当たらないものとされています(最判昭和39年2月13日ほか)。そのためたとえAが不動産の登記を有していたとしても、CはAからの不動産引渡しなどの請求に対して登記の欠缺を主張してそれを拒むことはできません。これは、AはCと当該不動産の所有権を争う関係にないのであり、Aは登記欠缺を主張してB・C間の所有権移転を否定したところで当該不動産について何らかの権利を受けるわけでもなく、またそれが出来ないからといって不利益を受けるわけでもないため、登記欠缺を主張する正当な利益を有しないためと考えられます。

主観的要件

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177条では、第三者の主観的要件に関する規定はなされておらず、ある者が善意であるか悪意であるかによる区別はされていません。また、不動産登記法5条は、詐欺または強迫によって登記申請を妨げた第三者や、他人のために登記を申請する義務のある第三者は、登記欠缺を主張することができないと規定しており、177条の第三者が善意・悪意を問わないことを前提にしています。なお、他人のために登記を申請する義務のある第三者とは、登記権利者の親権者、後見人、受任者、登記権利者が法人である場合の代表などのことであり、またこれらの者は、その個別の主観的事情は考慮されない(たとえ先行する被後見人の不動産売買を知らなかったような場合にも第三者とはならない)ものとされています。

しかし、これ以外にも、背信的悪意者である場合には、その者は第三者に当たらないものとされています。

判例によると、実体法上の物権変動があった事実を知り、かつ、物権変動について登記欠缺を主張することが信義則に反すると認められる事情がある第三者は、登記欠缺を主張する正当な利益を有しないとされています(最判昭和31年4月24日ほか)。このような者は背信的悪意者と呼ばれています。単に悪意というだけでは第三者となり得ることに変わりはないものの、取引上の信義則に反するような背信的悪意者は、登記欠缺を主張する正当な理由がないとして、177条の第三者から排除すると考えるのです。

これは、以下のように説明されます。すなわち、まず、悪意でも第三者となりうることについては、自由競争が認められる現在の社会においては、他者と競争して他者よりも有利な条件を提示して物を所得することが認められており、そのような競争関係は他者が物権を取得した場合にも同様であって、物権を取得した者は登記を得て自己の権利を保全するべきであるところ、それを怠ったのであれば他の競争者に敗れて権利を失ったとしても仕方がないと言えます。ただ、競争は無制限に認められるものではなく、不動産登記法に定められたような者のほか、これらと同様に信義則に反する者については自由競争の限界を超えており、他の登記欠缺を主張することが許されないものと考えられるのです。そのような者としては、第三者が実質的に当事者と同視される場合(例えば、二重譲渡において後の譲受人が譲渡人の近親者である場合や、譲渡人が法人であるのに対して後の譲受人がその法人の代表である場合など)や、不当に利益を上げる、ないし他者の利益を害する意図による場合(最判昭和43年8月2日。前の所有者に登記が残っているのを利用して、それを知った第三者が極めて低価格で前の所有者から登記を得、既にそれを長期間占有している者に高値で売りつけようとした事例など)、第三者が第一譲受人の権利所得を前提として行動しながら、後にそれと矛盾する主張をする場合、などがあります。

背信的悪意者からの転得者
前記のような者に該当して背信的悪意者とされれば、登記欠缺を主張して争うことができなくなるとされています。これは、背信的悪意者といっても第三者としての客観的要件は満たしており、また無権利者などとされるわけではなく、あくまでも当人の主観的な悪性が問題となって信義則上、登記欠缺の主張ができないとするものです。そこで背信的悪意者からの転得者についても、第三者としての客観的地位は有するものと認められ、判例上、その主観的要件が個別に判断されるもの(そのため、転得者が背信的悪意者でなければ177条のいう第三者となる)とされています(最判平成8年10月29日)。
なお、背信的悪意者でないものから転得した背信的悪意者は、第三者となりうるかについては、第三者となりうるとする見解が多数を占めていますが、これに反対する見解も主張されています。

このように、判例においては善意であれ悪意であれ第三者とはなり得るものとした上で、背信的悪意者のみを第三者から排除していますが、学説においては、単なる悪意の者(例えば第一譲受人が当該土地を購入し、代金を支払い、引渡しも受けたのを知っているような者)に関しても、第一譲受人と対等に扱って第三者に該当する者とし先に登記を得た者を不動産の所得者とすることは、やはり自由競争の限度を超えているとの見解に立ち、判例を批判する主張も強くなされています。悪意者についての判例のいう自由競争との理由付けは、十分な説明にはなっていないものと考えられています。

各論

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以下は、物権以外の各該当する分野においても触れられるものであり、そちらも参照してください。

取消しと登記

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法律行為は、取消しによって遡及的に無効となります(121条本文)。ここで、この物権変動の遡及的消滅を主張するためには、登記が必要となるかどうか問題となります。

これについて、判例は、法律行為の取消し前に利害関係に入った第三者との関係では、第三者への対抗に登記を必要としないものとしています。ただし詐欺を理由とする取消しは、96条3項により善意の第三者との関係で取消しの主張そのものが制限されるため、登記の有無は関係ないものとなります。

そして、取消後に利害関係に入った第三者との関係では、第三者への対抗には登記を必要とするものとしています(大判昭和17年9月13日)。

このような判例法理に対して、取消前の第三者との関係では取消しを遡及的無効としているにもかかわらず、取消後の第三者との関係では取消しによる効果を、物権が復帰するかのように扱っているとして、強く批判されています。また、判例法理によれば、取消すことができるのに取消さずに放置した者でも、(詐欺の場合を除き)取消前であれば善意の第三者に対しても対抗できることとなる一方、速やかに取消した場合には、登記がなければ悪意の第三者に対しても対抗できなくなるとの批判もなされています。

そこで、遡及的無効を徹底する見解(無権理説)が有力に主張されており、また、物権の復帰という考えを徹底する見解(対抗要件説)も主張されています。

無権理説
無権理説によると、取消しの前後を問わず第三者は無権利者から物権を譲り受けたこととなるため、当該不動産について無権利者であり、177条にいう第三者とならないことから、取消した者はこの第三者に対して、取消しによる物権変動の遡及的消滅を主張するための登記を得る必要はない事となります。そして、第三者の保護は、取消前については詐欺の場合のみ96条3項によって、取消し後は、取消した結果、登記を回復させることができたにもかかわらず不実の登記を放置したことにつき、取消した者に帰責性を認めて、94条2項の類推適用によって、図られるものとなります。ただし、このように解すると取消せたにもかかわらず取消さずに放置しておいた者の方が有利に扱われることとなるという、判例法理に対する批判はそのまま当てはまることとなります。
そこで、取消し原因の終了時点から、取消そうと思えば取消すことができたとして、94条2項の類推適用を認める見解も主張されています。
対抗要件説
対抗要件説によると、取消しの前後を問わず復帰的物権変動が生じることとなります。この見解においては、121条の取消しの遡及的無効という規定は、取消権者とその相手方との関係を規律する規定であり、第三者との関係にその効力は当然には及ばないものと考え、対抗問題として処理されるのが妥当となる事情があれば、177条によって121条による無効の犠牲は制限されるものと解します。そして、登記を備えることができるにもかかわらず登記を備えないのであれば不利益を受けても仕方がないとする、177条の基礎となる考え方からすると、取消しを原因とする登記は取消した後でないとできないため、取消し後に177条による処理が妥当となり、取消し前については(特に規定の設けられた詐欺の場合以外)登記がなくとも第三者に対して取り消しによる物権変動の消滅を主張することができ、取消し後については登記が必要となると考えます。
また、取消し原因の終了時点から、取消そうと思えば取消して登記を得ることができたとして、177条適用の前提が備わった物とする見解も主張されています。

なお、錯誤無効の場合にも、錯誤は詐欺と同様に(表意者が他人に騙されたにせよ自ら錯誤したにせよ)真意と異なる誤った意思表示を問題としており、また錯誤による無効は表意者側からしか主張できないものとして解されていること、第三者の保護の必要性や表意者の帰責性(帰責性という点では、騙された者よりも自ら誤った者の方が大きいとも考えられます)から、詐欺の取消しの場合と同様に扱うべきとの見解も、主張されています。

解除と登記

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物権変動を生じる契約が解除された場合、解除がなされると、545条1項の、「当事者の一方がその解除権を行使したときは、各当事者は、その相手方を原状に復させる義務を負う。ただし、第三者の権利を害することはできない。」 により、処理されることとなります。

そして、判例では、この解除の効果は契約が遡及的に効力を失うことを定めたもの(大判明治44年10月10日ほか)としており、物権変動の独自性は否定されており、解除の遡及効は解除された契約の物権上の効果にも及びます(大判大正10年5月17日ほか)。これによると解除の効果は、(545条1項但書によって第三者を害することはできないものとされ、この第三者の範囲は取消しとは異なるものの。なおここでの第三者とは、解除された契約の効果について解除前に新たに利害関係を有するに至った者であって、対抗要件を備えた者をいうとされています。)取消しとほぼ同様のものということができます。

そこで、前記の取消しと登記と同様の議論があります。また、そもそも解除の効果について、解除による契約の遡及的な効力の消滅を否定し、解除を原因として物権変動が新たに生じるものと考える見解があります。この見解によると、まさに復帰的物権変動が生じるのであり、当然に177条が適用され、解除の前後を問わず登記がなければ第三者に対抗することができないものとされます。

取得時効と登記

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取得時効による不動産の物権変動は、占有開始時点に遡って生じる(144条)ため、取得時効によって所有権を所得されたことによって、当該不動産の所有権を失った前主は、時効取得者の占有開始時点から無権利者となります。しかし、占有開始時点以後、前主が第三者と何らかの物権変動の原因となる契約を締結したような場合に、時効取得者は第三者に対抗するため登記が必要か否か、問題とされています。

取得時効は、継続した占有の尊重などを目的とした制度であり、登記を強く要求すると取得時効の制度目的に反するおそれがある一方で、登記を不要とすると不動産物権変動を登記によって公示し第三者を保護し取引の安全を図るという177条の規定目的に反するおそれがあり、その調整が問題となるのです。

判例では、基本的に「当事者」に対しては登記がなくとも対抗することができるが、第三者に対しては、登記がなければ対抗できないものとしています。ここでいう当事者とは、時効完成時における当該物の所有者などであり、時効取得は原始所得であって前主と時効取得者との間で物権変動が生じるわけではないものの、一方が物権を得ることで他方が物権を失うという関係は物権変動の当事者と同視されるものであり、当事者に対しては登記は不要とされています。またそのため、占有開始時の所有者のほか、時効完成前に占有開始時の所有者などから所有権を取得した者(時効完成前の第三者)に対しても、これも当事者となるものであって、登記がなくとも対抗することができるとされています(最判昭和41年11月22日)。

これに対して時効完成後の第三者につき、判例では177条に言う第三者にあたり、時効取得をこの第三者に対抗するには登記が必要であるとしています(大連判大正14年7月8日)。

なお、第三者の現れる時期が時効完成の前か後かで結論が異なるとすると、時効完成時期が重要となり、時効の起算日が重要となりますが、判例では起算日は所得時効の基礎となった事実の開始した時点としており、時効援用者はこれを変更することができないとしています(最判昭和35年7月27日)。

また、時効完成後の第三者が登記を備えた場合で、(一旦)当該不動産を時効により所得した者が占有を継続した場合には、第三者が登記を備えた時点から新たにその第三者を当事者として時効が進行するものとされています(最判昭和36年7月20日)。

そしてこのような判例に対して、以下のような点につき批判がなされています。

  • 時効完成の前後で分けて考える判例は、時効期間の経過によって時効が生じるということを前提としているが、時効の効果は判例・通説上援用によって生じるものとしていること(最判昭和61年3月17日)に反すること。
  • 善意の占有者は自己が他者の物を占有していることにつき知らないため、およそ登記することを期待することができず、このような者にまで登記を求めることは、登記を得られるにもかかわらずそれを怠った者は不利益を受けても仕方がないとする177条の基礎となる考え方に反すること。
  • 長期占有者が短期占有者に対して、不利に扱われるおそれがあり、取得時効の制度趣旨に反すること。
  • 善意占有者が悪意占有者に対して、不利に扱われるおそれがあること。

そこで、学説では占有者をより厚く保護し、占有が続く限り登記がなくとも占有者が保護されるとする説や、(時効取得者の登記可能性などから)問題の状況によって類型化し、そのそれぞれについて個別に解決を図る説などが主張されています。

(参照 b:民法第177条

明認方法

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明認方法とは、立木だけについて所有権を譲渡したり、逆に立木の所有権を留保したまま土地を譲渡するなどといった場合に、立木の所有権の公示方法として認められているものであり、木の皮を削って墨書したり、立て札を立てることで外部から土地とは独立したものと認識できるようにするものです。本来、立木は土地の定着物として不動産と共に物権変動するところ、このようにすることで立木の所有権につき第三者に対抗することができるようになります。ただしその効力はその立て札などが継続する限りであり、それらが一旦作成されたとしても、破損し無くなってしまったりすると第三者に対抗することはできなくなります。

(参照 w:立木ニ関スル法律w:対抗要件#明認方法