汚職の罪

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ここでは、汚職の罪に関して、公務員職権濫用罪、特別公務員暴行陵虐罪、収賄罪、第三者供賄罪、事後収賄罪、あっせん収賄罪、贈賄罪などにつき扱います。収賄罪・贈賄罪などについては、これらをまとめて賄賂罪・賄賂の罪と呼ぶこともあります。

この講座は、刑法 (各論)の学科の一部です。

前回の講座は、公務の執行を妨害する罪、次回の講座は、国家の作用に対する罪です。

職権濫用罪[編集]

総説[編集]

職権濫用の罪とは、公務員がその職権を濫用し、またはその職務を執行する際に違法な行為をすることを内容とする犯罪をいいます。刑法では、職権濫用の罪として、公務員職権濫用罪(193条)、特別公務員職権濫用罪(194条)、特別公務員暴行陵虐罪(195条)、特別公務員職権濫用致死傷罪・特別公務員暴行陵虐致死傷罪(196条)、を定めています。

本罪の保護法益については、以下の見解があります。

  • 公務の公正あるいは国家の威信にあるとする見解。
  • 個人の自由、権利であるとする見解。
  • 公務の適正な執行と、職権濫用の相手方となる個人の利益の双方であるとする見解(多数説)。

公務員職権濫用罪[編集]

本罪の主体は公務員であり、公務員がその職権を濫用して、人に義務のないことを行わせ、または行うべき権利を妨害することで本罪が成立します。

職権の濫用とは、職権に属する事項について、不当な目的のために、不法な方法により行為することであり、ここには不作為も含まれます。

本罪は結果犯と解されており、現に人が義務のないことを行わされ、または権利の行使が妨害されたということが必要となります。具体的な作為・不作為を強要しなくとも、事実上の負担ないし不利益を甘受させることで足ります。ここでいう権利の行使は、法律上のものである必要はなく、事実上の利益も含みます。

また罪数について、公務員が暴行・脅迫を加えて職権濫用の行為をしたときには、本罪と強要罪の観念的競合とするのが通説です。

職権[編集]

職権とは、当該公務員の有する一般的職務権限のことをいいます。職務権限があるように見えるだけでは足りず、現実に職務権限を有していることが必要ですが、法令上明文の根拠規定があることまでは必要でありません。一般的職務権限とは、つまり問題となった具体的行為について権限がなくともよいということであり、例えば判例(最決昭和60年7月16日刑集39巻5号245頁)では、裁判官が女性の被告人に対し、被害弁償のことで会いたいなどと言って夜間に喫茶店に呼び出し同席させる行為につき、一般的職務権限に属するとしています。

また、本罪にいう職権の性質については、以下の見解が主張されます。

  • 職権行使の相手方に対し、法律上、もしくは事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限であればよいとする見解。
  • 一般的職務権限であれば足りるとする見解。

判例(最決平成元年3月14日刑集43巻3号283頁)は、本罪の職権とは公務員の一般的職務権限のすべてを言うのではなく、そのうち、職権行使の相手方に対し法律上、事実上の負担ないし不利益を生ぜしめるに足りる特別の職務権限を言うとしています。

濫用[編集]

濫用とは、実質的・具体的に違法・不当な行為をすることをいいます。濫用行為は、相手方が職権の行使であることを認識できるものに限るかについては、以下の両説が主張されています。

  • 職権を持つものが客観的に職権を濫用した以上濫用行為となるとして、被害者に職権の行使と認識させなくとも本罪に当たるとする見解。
  • 構成要件の類似から強要罪と同様に考え、相手方が職権行使であることを認識できる外観を備えたもので、相手の意思に働きかけ影響を与える場合に限るとする見解。

判例(最決昭和38年5月13日刑集17巻4号279頁)では、本人の知らない間に公示札を立てる行為について、濫用行為に該当するとしています。なお、警察官の電話盗聴に関する判例(前出最決平成元年3月14日)では、相手方の意思に働きかけることは濫用行為の不可欠の要素ではないとしつつ、被疑者らは盗聴行為の全般を通じて終始何人に対しても警察官による行為でないことを装う行動をとっていたというものであるから、そこに警察官に認められている職権の濫用があったと見ることはできない、として職権濫用行為に当たらないと判示しています。なおこの判例に関しては、警察官には盗聴も一定の場合には認められ、また警備情報収集について一般的職務権限がある以上、このような場合でも本罪に当たると解するのが妥当との批判もなされています。

特別公務員職権濫用罪[編集]

特別公務員職権濫用罪(194条)の主体は、裁判、検察もしくは警察の職務を行う者、またはこれを補助する者です。これらの者を一般に、特別公務員といいます。単なる事実上の補助者は、ここでいう補助する者には含まれません。本罪は、行為者が特別公務員であることを理由に逮捕・監禁罪の刑を加重するものであり、不真正身分犯と解されます。これら特別公務員が職権の濫用により逮捕または監禁をした場合に、本罪が成立します。

特別公務員暴行陵虐罪[編集]

特別公務員暴行陵虐罪(195条)の主体は、裁判、検察もしくは警察の職務を行う者またはこれらの職務を補助するもの(1項)、及び法令により拘禁された者を看守し又は護送するもの(2項)です。

本罪の客体は、被告人、被疑者、その他の者(1項)、または被拘禁者(2項)です。ここでいうその他の者とは、証人、参考人など捜査・公判上取調べの対象となる者であり、本罪の主体による職権行使の対象となる者が含まれるものと考えられます。

これら特別公務員が、職務を行うに当たり暴行または凌辱・加虐の行為をすることで本罪が成立します。ここでいう暴行は、、広義の暴行で足り、また、職務を行うに当たり、職務を行う際に、ということを意味するものと解されます。

本罪における被害者の同意は、無効です(大判大正15年2月25日新聞2545号11頁)。これは、警察などの特別公務員がその立場を利用して、被害者(犯罪者)に同意するよう求めることが考えられるため、このように解されています。もっともこれについては、同意がある以上陵虐とはなりえないとして反対する見解も主張されます。

わいせつ・姦淫が陵虐行為として行われた場合については、強制わいせつ罪、強姦罪との観念的競合となるとの見解が通説です。致死傷の結果が生じた場合に、196条(特別公務員職権濫用等致死傷罪)で処罰するのでは、181条(強制わいせつ等致死傷罪)より法定刑が軽く、刑の均衡を失することなどが理由として挙げられます。

特別公務員職権濫用等致死傷罪[編集]

特別公務員職権濫用等致死傷罪(196条)は、194条、195条の罪を犯し、それにより人を死傷させたものを重く処罰するという、結果的加重犯です。

なお、判例(最決平成11年2月17日刑集53巻2号64頁)では、警察官が銃砲刀剣類所持取締法違反及び公務執行妨害の犯人を逮捕し、自己を防護するため拳銃を発砲し死亡させた行為について、犯人の所持していたナイフが小型であり、抵抗の仕方も警察官の接近を阻もうとする程度のものであるから、その発砲行為は警察官職務執行法7条の定める基準に当たらない違法なものであったとして、本罪の成立を認めています。

(参照 w:公務員職権濫用罪

賄賂罪[編集]

総説[編集]

賄賂罪とは、収賄及び贈賄を総称するものであり、刑法では収賄の罪として、収賄罪(197条1項前段)、受託収賄罪(197条1項後段)、事前収賄罪(197条2項)、第三者供賄罪(197条の2)、加重収賄罪(枉法収賄罪とも)(197条の3第1項、第2項)、あっせん収賄罪(197条の4)が定められ、贈賄の罪として、贈賄罪(198条)が定められています。

本罪の保護法益については、以下の見解が主張されます。

  • 職務の公正及びそれに対する社会の信頼であるとする見解。判例・通説の立場です。
  • 職務行為の不可買収性であるとする見解。
  • 職務の公正であるとする見解(純粋性説)。

このように、判例・通説は職務の構成及びそれに対する社会の信頼が、本罪の保護法益であると言いますが、これに対して法益が侵害されないことに対する信頼は、法益と区別された独自の法益ではないこと(例えば殺人罪においても、自分が殺されることはないという信頼は人の生命と区別された独自の法益ではない)、またその範囲が不明確であることが指摘されており、他のそれぞれの見解も主張されています。

なお、賄賂の罪は刑法においてのみならず、経済関係罰則の整備に関する法律や、商法上の贈収賄罪など、他の法律によっても多くの賄賂の罪が定められています。

賄賂[編集]

賄賂の罪の客体は、賄賂です。そして賄賂とは、公務員の職務に関する不正の報酬(対価)としての利益をいいます。

対価関係
賄賂は、職務に関する報酬でなければなりません。そうでない場合であっても公務の公正やそれに対する社会の信頼は害され得ますが、このような限定をしない場合には、本罪の保護法益を清廉義務に求める見解に至り、余りにも無限定になるためです。そこで、賄賂は、職務行為または職務密接関連行為の対価として提供されたものである必要があります。この対価関係は、一定の抽象的・包括的な反対給付としての性質が認められれば足り、個々の職務行為とその利益との間に対価関係があることを要しません。
職務
職務とは、公務員がその地位に伴い公務として取り扱うべき一切の執務をいいます。独立して決済する権限を伴う場合に限られず、補助的職務であってもよく(最判昭和28年10月27日刑集7巻10号1971頁)、また、現に具体的に担当している事務であることまでは必要でなく、一般的な職務権限に属するものであれば足りるとされます。もっとも、公務員の地位、担当変更の可能性、事務処理の状況などから判断して、当該公務員がその職務行為に影響を与えることができる可能性があることが必要とされます(最判平成17年3月11日刑集59巻2号1頁)。
また、職務に関する行為は不作為でもよく、例えば議員が欠席して議事に加わらないことも職務行為に当たります。そして、賄賂の反対給付として行われる職務行為は、不正なものである必要はありません。
監督的地位
監督的地位にある者の職務については、監督権限の行使がその職務となり、例えば内閣総理大臣については、行政上の責任者として行政各部の所管事項について一般的職務権限があり、その職務に関して金品等の授受があれば本罪を構成することとなります。判例(最大判平成7年2月22日刑集49巻2号475頁。ロッキード事件・丸紅ルート)では、運輸大臣は行政指導として民間航空会社に特定機種の選定購入を勧奨することができ、これは運輸大臣の職務権限内の行為と言え、また内閣総理大臣は行政各部に指示を行う職務権限を持つため、内閣総理大臣が運輸大臣に当該勧奨行為をするよう働きかけることも、職務行為に当たるとしています。また、国会議員の職務権限については、議院における審議・表決、議員として行政機関に影響を及ぼしうる監督的地位に基づく権限の行使はその職務に当たり、判例(最決昭和63年4月11日刑集42巻4号419頁)においては、自己が所属しない委員会の議事要件についても、職務権限があるとしています。
転職前の職務
転職前の職務(過去の職務)に関して賄賂を収受した場合に、本罪の成立が認められるか否かについては、見解の対立があります。肯定する見解は、197条1項の「その職務」には、自己の過去の職務も含まれ、現に担当することは要件ではないといいます。そして、。対価関係が肯定される以上賄賂罪の成立を否定する実質的理由はなく、現に公務員であれば法文上の要件も満たされるとして、本罪の成立を認めます。判例(最決昭和28年4月25日刑集7巻4号881頁、最決昭和58年3月25日刑集37巻2号170頁)の立場です。
否定する見解は、一般的職務権限が変更された場合には転職前の職務に関して収賄罪等の罪は成立しないといいます。この場合、事後収賄罪として扱うことなどとなります。もっとも否定説に対しては、公務員の身分を失った後に賄賂を収受すれば事後収賄罪となるのに対し、これを不可罰とするのは均衡を失し、またこれを事後収賄罪に準じて取り扱うのは、文理に反するとして批判がなされています。
職務密接関連行為
職務密接関連行為とは、職務に属するものではないが職務と密接な関連を有するため、職務行為に準じた扱いを受けるものとして、職務行為に当たると解されるものをいいます(最決昭和59年5月30日刑集38巻7号2682頁)。本来の職務行為ではないが慣行上担当している場合や、自己の職務権限に基づいて事実上の影響力を及ぼしうる場合などがあります。

また、賄賂となり得る利益には、金品その他の財産的利益に限らず、およそ人の需要または欲望を満たす利益であれば、いかなるものであるとを問いません。そこで、社会通念上、社交的慣習ないし儀礼の範囲内にある贈与につき問題となり、以下の見解が主張されます。

  • このような贈与は社会的に是認されている以上、賄賂とはならないとする見解。
  • およそ賄賂となると解したうえで、社交儀礼については対価関係が否定されるため賄賂罪が否定されうるものとする見解。判例の立場です。

また、政治献金と賄賂罪の成否も問題となり、判例(最決昭和63年4月11日刑集42巻4号419頁。大阪タクシー事件)では、献金者の利益にかなう政治活動を一般的に期待して行われるだけであれば賄賂性は否定されるが、政治家の職務権限の行使に関して具体的な利益を期待する場合には賄賂に当たるとしています。

収賄の罪[編集]

収賄罪[編集]

収賄罪(197条1項)は、公務員が、賄賂を収受し、要求し、または約束することによる犯罪です。

収受とは賄賂を取得することを言い、この態様の罪を賄賂収受罪といいます。収受は職務行為の前後を問いません。要求とは、賄賂の供与を要求することを言い、相手方がこれに応じなくとも既遂となります。この態様の罪を賄賂要求罪といいます。約束とは、贈賄者と収賄者との間で将来賄賂を授受すべきことについて合意することをいいます。この態様の罪を賄賂約束罪といいます。約束が行われればその内容が実行されなくとも、既遂に達します。

本罪が成立するためには、客体の賄賂性の認識を要します。一方、対価として職務執行する意思については、見解の対立があり、本罪の保護法益の捉え方などによります。

職務執行する意思は不要とする見解が主張される一方、職務行為を行う意思がない場合には、職務行為が賄賂の影響下に置かれる危険性がないとして必要と解する見解も主張されます。

恐喝により賄賂を供与させた場合について、判例は、公務員に職務執行の意思がない場合には恐喝罪のみが成立するが(最判昭和25年4月6日刑集4巻4号481頁)、職務執行の意思がある場合には、収賄罪と恐喝罪の観念的競合となり、賄賂の供与者につき贈賄罪が成立するとしています(最決昭和39年12月8日刑集18巻10号952頁)。これに対し学説では、贈賄罪の成立を疑問とするものや、収賄罪の成立も否定するものも主張されます。

受託収賄罪[編集]

受託収賄罪(197条1項後段)は、請託を受けたことにより、賄賂と職務行為との対価関係がより明白となり、職務行為が賄賂のより強い影響下に置かれて、その公正が害される危険が増すため、収賄罪よりも重く処罰されるものであり、同罪の加重類型であると解されています。

請託とは、公務員に対して職務に関し一定の職務行為を依頼することをいいます。その依頼が不正な職務行為であると、正当な職務行為に関するものであるとを問いません。黙示的なものでもよいですが、請託を受けたというためには、公務員がこれを承諾したことが必要となります。

請託の対象となる職務行為は、ある程度具体的なものである必要があるとされ、「何かと世話になったお礼」の趣旨である時は、請託があったとは言えないとした判例(最判昭和30年3月17日刑集9巻3号477頁)があります。また、一般の公務員につき、その職務の担当・行使が将来の条件にかかっている場合にも、「職務に関し」に当たります(最決昭和36年2月9日刑集15巻2号308頁)。また、市長が任期満了の前に、現に市長としての一般的職務権限に属する事項に関し、再選された場合に担当すべき具体的職務の執行につき請託を受けて賄賂を収受したときは、受託収賄罪が成立するとした判例(最判昭和61年6月27日刑集40巻4号369頁)があります。

事前収賄罪[編集]

事前収賄罪(197条2項)は、公務員になろうとするものが、その担当すべき職務に関し請託を受けて賄賂を受けるなどした場合に、その者が公務員になった時に成立するものです。

本罪は、行為者が公務員になった場合に初めて処罰されることとなりますが、この要件の性格については見解の対立があります。

  • 客観的処罰条件とする見解。
  • 構成要件要素とする見解。多数説です。

構成要件要素と解する見解は、公務員就任についての未必的予見もない場合には、事前収賄罪の成立は否定されるべきと主張します。

第三者供賄罪[編集]

第三者供賄罪(197条の2)は、これまでの収賄の態様と異なり、公務員が第三者に対して贈賄者に金品等の提供等をするようにするものです。

第三者とは、当該公務員以外の者を言い、自然人であると、法人であるとを問いません。なお第三者が公務員と共同して賄賂を収受したような場合には、ここにいう第三者ではなく受託収賄罪の共同正犯となります。一方、教唆者・幇助者は第三者です。

第三者は、公務員と無関係の者であってもよいとするのが判例ですが、これには反対の見解も主張されます。また、無関係の者の場合には、特別の事情が必要とする見解も主張されます。

加重収賄罪[編集]

加重収賄罪(197条の3第1項、2項)は、公務員が収賄行為を行うと共に、それによって職務違反の行為を行った場合に、不正な行為が現実になされ実際に職務の公正が侵害されたことによりこれを特に重く処罰するものであり、枉法収賄罪とも呼ばれます。

本罪の主体は公務員です。ここには、事前収賄罪における公務員になろうとするものも含まれます。

本罪の行為は、判例においては、職務に反する一切の作為・不作為を含むと解されています。

事後収賄罪[編集]

事後収賄罪(197条3項)は、退職後において在職中の職務違反の行為に関連して収賄することを内容とする犯罪です。

上記のように、ここに職務が変更され賄賂の対象となる一般的職務権限に属する職務から離脱していた公務員の場合が含まれるかについては、見解の対立があります。

なお、在職中に賄賂の要求・約束があり、退職後に賄賂の収受がなされた場合には、事後収賄罪は加重収賄罪に吸収されることとなります。

あっせん収賄罪[編集]

あっせん収賄罪(197条の4)は、公務員がその地位を利用して、他の公務員の所管事項について不正な職務行為のあっせん行為をし、それに対する賄賂を収受等することを内容とする犯罪です。

これは、自らの職務行為の対価として賄賂を収受等するものではなく、他の収賄の罪とはその点で異なります。

本罪の主体は公務員であり、公務員の地位ないし立場で行為する限り、積極的にその地位を利用しなくとも本罪の主体となります。また判例(最決昭和43年10月5日刑集22巻10号901頁)では、あっせん収賄罪が成立するためには、その要件として、公務員が積極的にその地位を利用してあっせんすることは必要ではないが、少なくとも公務員としての立場であっせんすることを必要とし、単なる私人としての行為は右の罪を構成しない、としています。これに対して、公務員としての地位の利用も必要との見解も主張されます。

本罪の行為は、請託を受け、他の公務員をしてその職務上不正の行為をさせ、または相当の行為をさせないようにあっせんすること、またはあっせんしたことの報酬として賄賂を収受等することです。

贈賄の罪[編集]

贈賄罪(198条)は、公務員に賄賂を供与し、またはその申し込みもしくは約束をすることによって公務の執行の公正を害する犯罪です。本罪の主体は、非公務員であることが原則ですが、公務員であっても単なる私人として行うときは本罪の主体となり得ます。

本罪の行為は、賄賂の供与・申し込み・約束です。供与とは収受に対応する観念であり、相手方が収受しない限り申し込みにとどまります。申し込みは、賄賂を供与する意思を示すことであり、相手方が賄賂であることを認識することは必ずしも必要でないが、認識しうる状態に置かれることは必要とされています(最判昭和37年4月13日)。

贈賄罪と収賄罪は、原則として必要的共犯の関係に立ちます。そこで、実質的に収賄罪の教唆・幇助となる場合でも、それら収賄罪の共犯は成立せず、贈賄罪の限度で罰せされることとなります。

事前収賄罪に対応する贈賄罪は、賄賂の供与等の相手方が公務員になった時に成立し、また事後収賄罪に対応する贈賄罪においては、公務員の在職中に請託をなし、職務上不正な行為などがなされたことが成立要件となります(そのことの認識も必要です)。その他の収賄罪に対応する贈賄罪については、重い形態の収賄罪を構成すべき事実の認識が欠如している場合であっても、少なくとも単純収賄罪を構成すべき事実の認識があるため、贈賄罪の成立は否定されません。

没収及び追徴[編集]

没収に関する刑法19条、19条の2は任意的なものですが、197条の5はこれらに対する特則であり、没収及び追徴を必要的なものとして定めています。なお、197条の5は19条・19条の2の適用をおよそ排除する趣旨の規定ではなく、197条の5に該当しない賄賂につき19条・19条の2により没収等を行うことは可能です。

没収の趣旨としては、以下の両説があります。

  • 収賄者等に不法の利益を保有させないためとする見解。通説的見解です。
  • 収賄者及び贈賄者等に不法の利益を保有させないためとする見解。

没収・追徴の対象となる者は、犯人および情を知った第三者です。犯人には共犯者も含まれ、また犯人は起訴されていない場合でも、事実認定により犯人と認定できれば足ります。情を知った第三者とは、第三者供賄罪にいう第三者をいいます。もっともこれについては反対する見解も主張されます。

また、賄賂の収受自体について犯罪が成立しない場合(賄賂の要求・約束がなされ、退職後に賄賂を収受したが、請託等の要件が充たされず事後収賄罪は成立しない場合など)についても、没収の対象となると考えられています。

没収ができない場合に、追徴がなされます。没収不能には、没収の対象となる有体物である賄賂が、費消、譲渡、滅失等により収賄者から失われた場合と、賄賂が有体物でないためそもそも没収の対象とならない場合(供応接待、債務の弁済など)とがあります。

(参照 w:賄賂罪